青森地方裁判所 昭和25年(行モ)8号 決定
被申立人が昭和二十四年十月八日附で青森市大字米町八番の一号、八番の六号、八番の七号、九番の二号申立人所有宅地計二九一、九六坪について特別都市計画法に基くものだとしてした換地予定地(一三〇坪)指定処分(同日申立人に通知)の効力の発生執行を本案判決が確定するまでの間停止する。
手続費用は各自弁とする。
二、理 由
申立代理人は主文同旨の決定を求める旨申立てその理由として陳述した事実の要領は、被申立人は昭和二十四年五月二十三日特別都市計画法第一三條第一四條によるものだとして、青森市大字米町八番の一号八番の六号、八番の七号、九番の二号申立人所有の宅地計二五一、九六坪の換地予定地として同所申立人所有の宅地計一四五、四二坪を指定し、同日その旨申立人に通知し次いで同年七月二十七日申立人に右從前の宅地に存在した原告所有の木造亞鉛葺三階建土藏(総建坪七二坪)同上平家建土藏(建坪一三、五坪)同上平家建住宅(建坪九坪)、同上(建坪四六坪)、木造平家建廁(建坪〇、五坪)各一棟を翌二十八日から同年八月二十八日までの間に右換地予定地に移轉しなければならない旨命じた。そこで申立人が折角この命に遵い右建物の移動に努力中、被申立人は同年十月八日無暴にも前記法條に基くものだとして前記換地予定地一四五、四二坪を右換地予定地域の一部たる一三〇坪に減縮指定し同日その旨申立人に通知した。併し乍ら第一次指定通知処分の目的物の範囲は從前の申立人所有の宅地に西接し訴外奈良佐市の所有に係る宅地二〇坪(間口二間奧行一〇間の空地)に及んでいたところ、第二次指定通知処分の目的物の範囲は右佐市所有の宅地僅かに五坪(間口一尺五寸奧行二〇間)に及ぶに過ぎず、第二次指定通知処分により申立人の使用收益することができる宅地は一二一、九六坪減少したに反し、佐市の使用收益することができる宅地は同処分により成程一方では右五坪の減少を來したが、他方では却つて数坪増大し、増大地積は減少地積を裕に償うことができる。凡そ換地予定地は法律上、從前の土地の地積や等位などを公平に勘案して指定しなければならない(特別都市計画法第一條都市計画法第一二條第二項耕地整理組合法第三〇條)に拘らず第二次指定通知処分は正にこの精神に背戻する。そればかりではない、申立人が第二次指定通知処分により今間口一尺五寸、奧行二〇間の土地の使用收益を許されてもかような細長い地形に凡そ工作物を設置又は移動する術がなく、なお右地形の西縁幅約二寸長さ約一一間の地域は現在佐市の所有占有する宏壯堅固な建物の敷地に該るから右建物を西方に移動しない限り申立人がこれを使用收益することができない状勢にあり從つて第二次指定通知処分は違法不当も甚しい。よつて申立人は同年十一月二十二日被申立人を被告として当裁判所に第二次指定通知処分取消訴訟を提起した。然し乍ら佐市は今や第一次指定通知処分により申立人が使用收益を許された空地二〇坪に相当堅固な住宅兼米穀商店舖を築設の準備を完了し目下その工事が進行しつつある。從つて今緊急に第二次指定通知処分の効力の発生執行を停止しなければ申立人は不測且つ回復乃至補償不能の損害を被ることが必定である。よつてここに行政事件訴訟特例法第一〇條に則り右処分の執行停止決定を求めるため本申立に及ぶというにあり。
よつて当裁判所は一件記録を檢査し、一應申立人の申立理由を正当と推認し手続費用の負担につき行政事件訴訟特例法第一條民事訴訟法第九〇條第九一條に則り主文の通り決定する。
(裁判官 中川毅 工藤健作 高沢新七)